FXの解説や動画を見ていると、「今日は30pips取れた」「損切りは20pipsに置く」という言い方が当たり前に出てきます。でも初心者にとっては、その30pipsが結局いくらなのかが分からないと思います。金額に直せないままだと、損切り幅を決めることもできません。
先に結論pipsは「獲得pips × 1pipsの基準値 × 取引数量」で金額に直せます。米ドル/円のような対円の通貨ペアなら1pips=0.01円(1銭)なので、1万通貨で1pips=100円です。つまり30pipsなら3,000円です。この記事では、この式の使い方と、ユーロ/米ドルのように答えがドルで出る通貨ペアの直し方まで順番に説明します。

1. 先に結論:pipsを金額に直す式はこれだけ
この章で分かるのは「覚える式は1本でいい」ということです。pipsは難しそうな言葉ですが、やることは掛け算だけです。
国内のFX会社が公開している式は、どこもほぼ同じ形です。GMOクリック証券は「損益=取引で獲得したpips × 1pipの基準値(0.01円)×取引数量」と説明しています。みんなのFXも「獲得pips×0.01円(or 0.0001ドル)×通貨数」と書いています。言い方が違うだけで、中身は同じ計算です。
使う数字は3つだけです。何pips動いたか、1pipsがいくらか、いくつ持っているか。これだけで金額が出ます。
米ドル/円を1万通貨
獲得pips30pips
1pipsの基準値× 0.01円
取引数量× 10,000通貨
損益3,000円
ユーロ/米ドルを1万通貨
獲得pips30pips
1pipsの基準値× 0.0001ドル
取引数量× 10,000通貨
損益30ドル
同じ30pipsでも、片方は円で、もう片方はドルで答えが出ました。ここが最初のつまずきどころです。ドルで出た答えは、最後に円へ直す必要があります。その手順は第6章で説明します。
覚え方対円の通貨ペアなら、1万通貨で1pips=100円です。1千通貨なら10円、10万通貨なら1,000円になります。この1つだけ覚えておけば、たいていの場面はその場で計算できます。
2. pipsとは何か(なぜ「円」ではなく「pips」で数えるのか)
この章ではpipsという単位が何のためにあるのかを説明します。ここが分かると、なぜ通貨ペアごとに基準値が違うのかも納得できます。
pipsは「percentage in point」の略です。GMOクリック証券の解説では「FXにおいて通貨ペアの変動幅を表す最小単位」とされています。みんなのFXは「通貨の共通単位としてFXで使用されるもの」と書いています。
大事なのは「共通単位」という部分です。通貨ペアによって、価格の刻みがまったく違うからです。
たとえば米ドル/円が150.00円から150.20円へ動いたとします。動いた幅は0.20円です。同じ時間にユーロ/米ドルが1.0800から1.0820へ動いたとすると、こちらは0.0020ドルです。0.20円と0.0020ドルでは、どちらが大きく動いたのか一目では分かりません。
ところがどちらもpipsに直すと20pipsです。単位をそろえたおかげで、そのまま比べられるようになりました。pipsは、違う通貨ペアの動きを同じものさしで測るための単位です。

図のいちばん下にある「ポイント」は、MT4やMT5が内部で使っている別の単位です。pipsと似ていますが同じではありません。ここを混同すると設定の数字が10倍ずれます。詳しくは第7章で説明します。
3. 通貨ペアごとの「1pips」はいくらか
この章の結論は「2種類しかない」です。対円か、そうでないか。それだけ覚えれば足ります。
GMOクリック証券・みんなのFXの解説は、どちらも次の2つを挙げています。対円の通貨ペアは1pip=0.01円(1銭)、ユーロ/米ドルなどは1pip=0.0001ドル(0.01セント)です。GMO外貨の解説も「クロス円は小数点第2位、その他は小数点第4位が1pips」としています。
| 通貨ペアの種類 | 例 | 1pipsが動く桁 | 1pipsの大きさ |
|---|---|---|---|
| 対円(クロス円) | 米ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円 | 小数点第2位 | 0.01円(=1銭) |
| それ以外 | ユーロ/米ドル、ポンド/米ドル、豪ドル/米ドル | 小数点第4位 | 0.0001ドル(=0.01セント) |
ここで1つ、初心者がよく引っかかる点を先に片づけておきます。「銭」と「pips」は、対円では同じ幅を指します。1銭が0.01円で、1pipsも0.01円だからです。
スプレッドの表記でもこれが出てきます。GMO外貨の解説では「スプレッドもpips単位で表記されます」とされ、例として「米ドル/円のスプレッドが0.1銭 = 0.1pips」が挙げられています。0.1銭と0.1pipsは、言い換えただけで同じものです。
注意ゴールドや株価指数など、通貨ペア以外の銘柄では1pipsの扱いが業者によって違います。統一されたルールが公開されていないため、この記事では踏み込みません。取引画面の銘柄仕様と、その業者の説明ページで必ず確認してください。
4. 損益を金額に直す3ステップ
ここでは実際に手を動かす順番を示します。やることは3つだけで、毎回同じです。
- 1動いた値幅を出す決済した価格から、建てた価格を引きます。買いならこの順、売りなら逆です例150.30 − 150.00 = 0.30円
- 2値幅をpipsに直す対円なら0.01で割ります(100倍するのと同じ)。ドルストレートは0.0001で割ります例0.30 ÷ 0.01 = 30pips
- 3基準値と取引数量を掛ける獲得pips × 1pipsの基準値 × 取引数量。ここで金額になります答え30 × 0.01 × 10,000 = 3,000円
公開されている公式の計算例でも、同じ形で答えが出ています。
GMOクリック証券の例では、1ドル100.00円で10,000ドル買い、110.00円で売却した場合を扱っています。獲得は1,000pipsで、計算は「1,000 pips×0.01円×10,000ドル=100,000円」です。みんなのFXの例は、100.00円で10,000ドル買って100.05円で売った場合で、5pipsの利益は500円とされています。
桁が大きくても小さくても、式はまったく同じです。1,000pipsでも5pipsでも、やっているのは同じ掛け算です。
売りの場合売りから入ったときは、建てた価格から決済した価格を引きます。150.30で売って150.00で買い戻したなら、0.30円の利益で30pipsです。引き算の順番が逆になるだけで、あとは同じです。
ここまでの計算に、スプレッドや手数料は含めていません。実際の口座では、これらが別に加減されます。金額や条件は業者ごとに違うので、最終的な損益は取引画面の数字で確認してください。
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ここまでの計算を「注文のたびに電卓でやるのか」と感じた方もいると思います。値幅や損益をその場で表示してくれる道具は、GogoJungleのような投資ツールの専門マーケットで探せます。まず自分で1回計算してみて、仕組みが分かってから道具を足すのが順番です。
5. 早見表:取引数量ごとの「1pipsいくら」
この章では計算しなくても金額の見当がつく表を2つ置きます。注文の前に、桁を間違えていないか確かめるのに使ってください。
まずは取引数量ごとの1pipsの金額です。米ドル/円などの対円の通貨ペアが前提です。
| 取引数量 | 注文画面の表示(例) | 1pipsの金額(対円) |
|---|---|---|
| 1,000通貨 | 0.01 | 10円 |
| 5,000通貨 | 0.05 | 50円 |
| 10,000通貨 | 0.10 | 100円 |
| 50,000通貨 | 0.50 | 500円 |
| 100,000通貨 | 1.00 | 1,000円 |
次は1万通貨のときに、何pipsでいくらになるかです。損切り幅を決めるときに使うと分かりやすくなります。
| 動いたpips | 1,000通貨 | 10,000通貨 | 100,000通貨 |
|---|---|---|---|
| 5pips | 50円 | 500円 | 5,000円 |
| 10pips | 100円 | 1,000円 | 10,000円 |
| 20pips | 200円 | 2,000円 | 20,000円 |
| 30pips | 300円 | 3,000円 | 30,000円 |
| 50pips | 500円 | 5,000円 | 50,000円 |
| 100pips | 1,000円 | 10,000円 | 100,000円 |
表を横に見ると、数量が10倍になれば金額も10倍だと分かります。ここは素直に比例します。縦に見れば、pipsが2倍になれば金額も2倍です。
表の使い方ここに出ている金額は、対円の通貨ペアでの計算例です。スプレッドや手数料は含んでいません。この表は「3,000円くらいだな」と桁を確かめるためのものです。実際の損益は、必ず取引画面の数字で確認してください。
損切り幅をpipsで決めるときは、この表を逆から使うと便利です。「1回のトレードで失ってよい額」を先に決め、そこから何pipsまで置けるかを逆算します。この考え方はFXの資金管理法で詳しく説明しています。
6. ドルストレートは最後に円へ直す
この章ではユーロ/米ドルのように、答えがドルで出る通貨ペアを扱います。手順は1段増えるだけです。
GMO外貨の解説にある例で追いかけてみます。ユーロ/米ドルが1.0800から1.0820へ動いた場合です。
まず動いた幅は0.0020ドルです。ドルストレートの1pipsは0.0001ドルなので、0.0020 ÷ 0.0001 = 20pipsになります。次に1万通貨での1pipsの金額を出します。10,000 × 0.0001ドル = 1ドルです。
あとは掛けるだけです。解説でも「20pips × 1ドル = 20ドルの利益」とされています。ここまではドル建ての答えです。
円建ての口座なら、最後に円へ直します。米ドル/円が150円のときなら、20ドルはおよそ3,000円です。同じ解説でもこの換算が示されています。

ここを間違える人が多い「20」という数字だけを見て、20円や2,000円だと思い込むのがいちばん多い間違いです。ユーロ/米ドルの損益は、まずドルで出ます。単位を書きながら計算するだけで、この間違いはほぼ防げます。
なお、円へ直すときのレートは刻々と変わります。ここで出る円の金額は目安だと考えてください。口座に反映される正確な金額は、取引画面の数字で確認するのが確実です。
7. MT4・MT5の「ポイント」とpipsを取り違えない
この章の結論は「MT4・MT5はpipsではなくポイントで動いている」です。ここを知らないと、設定の数字が10倍ずれます。
MQL4の公式リファレンスには、Point が「現在の銘柄のポイントの値(気配値通貨建て)」、Digits が「現在の銘柄の小数点以下の桁数」と定義されています。一方で、pip という名前の変数は公式の一覧に存在しません。
MetaTraderの各所も、単位はポイントで書かれています。MT4の銘柄仕様では、スプレッドが「BidとAskの価格差(ポイント)」、ストップレベルが「損切り注文と利確注文を置ける、現在価格からの最小距離(ポイント)」と説明されています。MT5のヘルプでも、スプレッドは「ポイント単位でのスプレッド」と書かれています。
では1pipsは何ポイントなのか。これは公式に1行で書かれてはいません。ただし、公式の定義から計算できます。
pipsとポイントは別の単位です
pips
人が使う
通貨ペアをまたいで比べるとき
対円は0.01円、ドルストレートは0.0001ドル。FX会社の解説やトレーダー同士の会話で使われる単位です。
→ 「30pips取れた」の30
ポイント
ソフトが使う
価格の刻みそのもの
公式の定義は「価格の最小の刻み」です。小数点以下の桁数(Digits)で決まります。スプレッドもストップレベルもこの単位です。
→ EAやインジケーターの設定値
米ドル/円が小数点以下3桁で表示される口座なら、1ポイントは0.001円です。1pipsは0.01円なので、10ポイントにあたります。
ユーロ/米ドルでも同じです。小数点以下5桁で表示される口座なら1ポイントは0.00001ドルで、1pips(0.0001ドル)は10ポイントになります。小数点以下2桁・4桁で表示される口座では、1ポイントと1pipsが一致します。
つまり倍率は表示桁数で決まります。自分の口座がどちらなのかは、価格の表示を見れば分かります。米ドル/円が150.123のように3桁で出ていれば、1pipsは10ポイントです。
実際に困る場面EAやインジケーターの設定に「トレーリングストップ:200」と入っていたとします。この200がポイントなら20pipsですが、pipsだと思い込むと200pipsのつもりになります。10倍の勘違いです。設定項目の説明に「points」とあるか「pips」とあるかを、必ず確かめてください。
チャートの上で値幅を目で測りたいときは、pips幅を表示する道具を使う手もあります。指定pips分の値幅をチャートに表示するツールで紹介しているような仕組みです。損切り・利確をpips幅で設定する方法はMT4で損切り・利確を自動設定する方法にまとめています。
8. よくある間違い6つ
この章では初心者がつまずきやすい勘違いをまとめます。どれも一度ひっかかると、損益の管理そのものが崩れます。
| よくある勘違い | 実際はこうなる |
|---|---|
| 銭とpipsを別の単位だと思う | 対円の通貨ペアでは1銭=1pipsです。スプレッド0.2銭は0.2pipsのことです。呼び方が2つあるだけで、幅は同じです |
| ドルストレートを0.01刻みで数える | ユーロ/米ドルの1pipsは0.0001ドルです。0.01で数えると桁が2つずれ、答えが100倍変わります |
| ドルで出た損益を円だと思う | ユーロ/米ドルの損益はまずドルで出ます。20ドルを20円だと思うと、感覚が大きく狂います。単位を書きながら計算してください |
| 取引数量を掛け忘れる | 30pipsは値幅であって金額ではありません。数量を掛けて初めて金額になります。同じ30pipsでも1千通貨なら300円、10万通貨なら30,000円です |
| EAの設定にpipsの数字をそのまま入れる | MT4・MT5が内部で使う単位はポイントです。3桁・5桁表示の口座では1pips=10ポイントなので、数字が10倍ずれます |
| スプレッドを無視して損益を数える | 建てた瞬間はスプレッドのぶんだけマイナスから始まります。30pips取れた=まるまる3,000円、とは限りません。条件は業者ごとに違います |
最後の点に関係して、順番の話をしておきます。「何pips取れるか」から考えると、たいてい数量を増やしすぎます。先に「1回のトレードでいくらまで失ってよいか」を決め、損切り幅(pips)を通して数量を決めるのが本来の順番です。その注文に要るお金のほうはFXの必要証拠金の計算方法で整理しています。
9. よくある質問
| 質問 | 答え |
|---|---|
| 1pipsは何円ですか? | 通貨ペアと取引数量で変わります。対円なら1pips=0.01円なので、1万通貨で100円、1千通貨で10円です。金額を聞かれたら、必ず数量とセットで考えてください。 |
| pipsと銭は違うものですか? | 対円の通貨ペアでは同じ幅です。1銭=0.01円=1pipsです。スプレッドの表記で「0.2銭」と「0.2pips」が混在するのは、呼び方が2通りあるためです。 |
| ポンド/円の1pipsも0.01円ですか? | 対円の通貨ペアなので、一般に0.01円として扱われます。ただし表示桁数は口座や銘柄で決まります。取引画面の価格表示で確認してください。 |
| ゴールド(金)の1pipsはいくらですか? | 業者によって扱いが違います。通貨ペアのような統一されたルールが公開されていないため、この記事では断定しません。銘柄仕様と業者の説明ページを確認してください。 |
| MT4の「ポイント」とpipsはどう違いますか? | ポイントは価格の最小の刻みで、公式リファレンスに定義があります。pipsは人が使う共通単位です。3桁・5桁表示の口座では1pips=10ポイントになります。 |
| 計算にスワップや手数料は入りますか? | pipsの計算には入りません。実際の口座では別に加減されます。金額や条件は業者ごとに違うので、確定した損益は取引画面で確認してください。 |
| pipsの計算アプリは使ったほうがいいですか? | まず自分で1回計算してみることをおすすめします。仕組みが分かっていないと、道具が出した数字が正しいかどうかを判断できません。慣れてから手間を減らす、という順番が安全です。 |
10. まとめ
pipsの計算を、もう一度整理します。
- 損益 = 獲得pips × 1pipsの基準値 × 取引数量。対円なら基準値は0.01円、ドルストレートなら0.0001ドルです
- 対円は1万通貨で1pips=100円。この1つを覚えておけば、たいていの場面はその場で計算できます
- ドルストレートは答えがドルで出ます。円建ての口座なら、最後に米ドル/円のレートを掛けて円へ直します
- MT4・MT5が使う単位はポイントです。3桁・5桁表示の口座では1pips=10ポイントになります
いちばん実用的な確認方法も書いておきます。決済したあとに、自分で計算した金額と取引画面の損益を見比べてください。ほぼ一致していれば、基準値も数量も正しく理解できています。10倍ずれていたら桁の取り違え、100倍ずれていたら通貨ペアの種類の取り違えです。
計算そのものは、慣れれば暗算でも足ります。難しいのは計算ではなく、「何pips取れるか」ではなく「いくらまで失ってよいか」から数量を決める順番を守ることです。まずはデモ口座で、数量を変えながら1pipsの金額がどう動くかを眺めてみてください。金額が体感で分かると、損切り幅に迷わなくなります。
【免責事項】
本記事はFX取引で使われる値幅の単位「pips」の意味と計算方法を解説したものであり、特定の取引手法・金融商品・業者・ツールの購入や、特定の数量での売買を推奨するものではありません。記載内容は2026年9月時点で公開されているMQL4公式リファレンス、MetaTrader 4・MetaTrader 5の公式ヘルプ、および国内FX会社が公式サイトで公開している解説にもとづいています。価格の表示桁数・スプレッド・取引手数料・スワップ・取り扱い銘柄の仕様は、業者・口座種別・銘柄・時期により異なります。本文中の価格・レート・金額はすべて計算を説明するための例であり、実際の数値を示すものではありません。通貨ペア以外の銘柄における「1pips」の扱いは業者ごとに異なります。取引の判断はご自身の責任で行ってください。
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